零細米粉研究員の備忘録

米粉に関することなどをたまに書いていきます

統計ソフト「R」を用いて多重比較し、アルファベットを付ける方法

試料間で多重比較を行い、a, b, c…のアルファベットを付ける(別のアルファベットは有意差ありを示す)方法が分かったので書いてみる。

統計ソフト「R」を用い、「multcomp」パッケージの、「cld」というコマンドを用いる。

RはCRANのサイト等からダウンロードしてインストールし、起動後に「パッケージ」→「パッケージの読み込み」を選択して、「multcomp」をダウンロードしておく。

 

測定した実験データを下のようにエクセルにコピーする。

試料名や測定項目(この場合アミロース含量)を1行目に書いておくようにしている。

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デスクトップにcsvファイルで保存しておく。

 自分の場合、名前は「Book1.csv」のままにしている。

 

ここまでしたら、以下のコマンドを入力する。

太字がコマンドであり、色を付けたのは試料名や測定項目名などに応じて変更するところを示す。

「#」以下は説明文

 

 > library(multcomp)  

      # パッケージ「multcomp」の読み込み

> setwd("C:/Users/Aonori/Desktop") 

     # 作業ディレクトリのデスクトップへの変更

     #\」ではなく「/」を用いることに注意

> d <- read.csv("Book1.csv", header=T) 

     # CSVファイルの読み込み

     #「header=T」は、1行目(今回はSample、Amylose)にラベルがあることを示す

 

> df <- data.frame(S = d$Sample, A = d$Amylose)
     # データフレームの作成。以後の解析のためには、読み込んだ行列式をデータフレームに変換する必要があるらしい

     # 上の「S」「A」は、フレームにおける列の名前。自分は書く量を減らすために1文字にしている

> ichi <- aov(A ~ S, data=df)

     # 一元配置分析
> taju <- glht(ichi, linfct = mcp(S = "Tukey"))

     # 多重比較
> cld(taju, level = 0.05, decreasing = TRUE)

     # アルファベットの付与(試料数が多いと時間がかかる)

     #「decreasing = TRUE」で、最も数値の高いサンプルが「a」となる
     #これは有意水準を5%としている。1%とするなら、level=0.05を0.01にする

 

以上のコマンドを打ち込んで問題がなければ、次のように出力されるはずである。

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牛肉1キロ作るのに穀物11キロ必要な根拠が分からない

食料関係の文章を読んでいてたまに見かけるのが、食生活の変化によって穀物需要が変化するというものである。

発展途上国の人が豊かになることで食肉の量が増えるが肉を生産するためには多くの穀物が必要であるために、穀物の消費量が大幅に増加するというものである。

 

Wikipedia「飢餓」の項目によると、牛肉1キロの生産には穀物が11キロ必要で、豚肉1キロの生産には穀物7キロ、鶏肉1キロには穀物が4キロと書かれていた。

この数値は他の本とかブログとかでもよく見かける数字である。

学生の頃にも同じような話は聞いていたが、この数値よりも低かったように記憶していた(数字は忘れている)。

 

そこで、参考文献としてかかれていた「我が国の食料自給率ー平成15年度食料自給率レポート」を図書館で調べてみた。

すると、10ページに試算の表があった。

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 (注)として、必要な飼料の量をトウモロコシで換算したとあるが、どのような計算かが詳細には書かれていなかった。

この計算に用いた 飼育方法はどのようなものなのか、「とうもろこし換算」とはどのような換算なのかを詳しく知りたいところである。

 

外国の文献についても少し調べてみた。

そうすると、Utsa Patnaik氏の書かれた、「Origins of the Food Crisis in India and Developing Countries」という記事には、鶏肉1kg、豚肉1kg、牛肉1kgの生産に必要な穀物の量はそれぞれ2kg、3kg、7kgと書かれていた(Table1参照)。

上記の値とけっこう違っている。

自分が学生の時に見た数値はこれくらいだったように思っている。

 

この違いは、飼育方法が日本と海外で違うだけかもしれない。

ただ、畜産物の生産情報についてのWebサイトである「りんたらくと」のQ&Aの一つで、「肥育される豚は、約6ヶ月飼育されて約110kgの体重で出荷されますが、その間に食べる飼料は約300kgです。」と書かれていた。

この結果は、Utsa Patnaik氏の結果と同様と言える。

 

食肉生産にはどれくらいの穀物が必要なのか、正確にわかりやすく示してくれる人はどこかにいないものだろうか?

米の単収の安定性

以前にコムギの研究者から、コムギはイネと違って収量がすごく変動するという話を聞いた。

米粉についての文章を書くときに、このことが書けないかと思って少し調べてみることにした。

 

政府統計の総合窓口に作物統計のページがあり、現時点(2014年11月)では2012年の作物統計のページに最新のデータがあるようであった。

 

全国累年統計表から、コムギとイネ、ついでにオオムギとサツマイモの1975年から2012年までの収量データをまとめてみた。

そうしたところ、下の図のようになった。

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収量からカロリーへの計算には、食品成分表のデータを用いている。

1975年を最初にしたのは、自分が生まれた年だからである。

 

ばらつきを見やすくするために、1990年の値を100に換算した収量をグラフ化したのが以下の図である。1990年を基準に選んだ特段の理由はない。

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これらの図から、コムギやオオムギはよりばらついているようにも見える。

 

変動係数(標準偏差÷平均値)を求めてみると、以下のようになり、今回調べた作物では、コムギの数値が最も高かった。

 コメ:0.08

 サツマイモ:0.08

 オオムギ:0.11

 コムギ:0.14

単収のばらつきを表現するのに変動係数が適切かどうかは議論の余地があるかとは思うが、コメは比較的収量の変動が少ない作物であることが示せたかと思う。

 

サツマイモは収量に優れていることは以前から知っていたが、変動も少ないことは今回調べてみて初めて分かった。

イモってのはすごい作物である。

食料自給率を1%上げるために必要な米の量は?

米粉パンについての文章を書いていて、「米粉の消費拡大による食料自給率の向上が期待される」なんていう文章を書いていた。
その時にふと思ったのは、米の消費量が増加により、どれくらい自給率が上がるのか自分が知らないことである。
そこで、米粉の消費量がどれくらい増えれば、食料自給率が1%分上がるのかを計算してみた。

 

農林水産省の「食料自給率とは」のページによると、カロリーベースの食料自給率の計算に用いる、1人1日当たり供給熱量は2424kcalとなっている。

食料自給率1%となると、24.24kcalとなる。

自分の持っている食品成分表(五訂増補食品成分表2009、p18)によると、1グラムの精白米のカロリーは3.55 kcal、上新粉は3.62 kcalであった。

米粉パン用米粉のカロリーは、その製法上新粉とあまり変わらないことからカロリーも同様と考えて、3.62 kcalとする。

そうすると、食料自給率1%に相当する米粉の量は24.24 ÷ 3.62 ≒ 6.69 gである。

総務省統計局の人口推計のページによると、平成26年11月1日の人口(概算値)は1億2708万人であるらしい。

 

これから、1年間、日本国民全体の量を計算すると、

6.69(g/日・人) × 365日 × 1億2708万人 ≒ 31万1千トンとなる。

つまり、米粉の消費量が31万1千トン増加すれば、食料自給率1%向上することとなる。


米粉の利用推進のページによると、米粉用米の生産量は平成25年は約2万1千トンであることから(4ページ目)、15倍近くの値である。

米粉だけで食料自給率を1%上げるのもかなり困難なことである。

 

水泳教室の便乗値上げ?

毎週通っている水泳教室の値段が、4月より上がった。

元々は4500円だったのが、今月から4635円となったのだ。

消費税の増税に伴う価格変更だそうだが、計算してみると少し変である。

 

4635 ÷ 4500=1.03なので、3%値上げしているのだ。

本来ならば、税抜き価格が4500 ÷ 1.05 ≒ 4286円となり、消費税が8%となった時の税込み価格は4500 ÷ 1.05 × 1.08 ≒ 4629 円となる。

つまりは約6円の便乗値上げということになる。

 

月あたりでたった6円の違いだし、時間に換算したら3秒分にも満たないので、実際のところどうでもいい問題ではあるが。

米粉料理レシピコンテストを見てきた

しばらく前に、国内産米粉ネットワークから、特別セミナーの案内があったので行ってみることにした。

米粉グランプリに合わせて特別セミナーがあって、昼食会があってお土産までつくらしい。

久しぶりの米粉の情報集めと、久しぶりの米粉料理を食べるために、女子栄養大学なるところまで行ってきた。

 

午前中に2つの講演があった。

一つは女子栄養大の副学長による日本の食文化についての講演で、もう一つは広島県東広島市の農事組合の理事による米粉パン工房などについての講演であった。

お二人の話は色々と勉強となったが、特に印象に残ったのは、2番目に話をされた「ファーム・おだ」の人が話していたことであった。

男が考えた6次産業は売れない、というものである。

売れる物はすべからく女性が考えたものであるらしい。

確かに、今回のコンテストで受賞した料理は全て女性が作っていた。

テレビとかでも、地元の農産物を生かした製品作りについて紹介されているを見たことがあるが、女性ばかりが出ていたように思う。

仕掛け人とかは男性が多かったような印象だが、実際に開発や販売で活躍していたのは必ず女性であったような気がする。

自分が商品開発とかに関わることはないだろうが、覚えておくようにしよう。

 

昼食会では、米粉レシピとして、パウンドケーキ、チヂミ、グラタンが出た。

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もちろんローストビーフやらサツマイモの煮物とか、他の料理も含めて全種類いただいた。

どれもおいしかったが、少々食べ過ぎた。

最近太り気味だからダイエットしないといけなさそうだ。

 

 

13時半頃からコンテストの審査結果が発表となった。

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優勝は、「米粉のポンランタン」というのになった。

越谷にある高校生の作品らしい。

高校生でこのようなものを作り上げるとはすばらしい。

将来が有望な人である。

できればこれを試食させてほしかった。

 

それにしても「ポンランタン」ってなんだろう?

googleで調べても分からなかったし。

恥ずかしがらずに開発者に聞いておけばよかったと後悔してる。

 

 

このような新しい米粉の料理が開発されて、米粉の消費量がもっと増加してくれればいいと思う。

誰かの話であったが、これまで米粉の消費拡大がそれほど進んでこなかったのは利用法が十分に浸透してなかったことも原因の一つである。

米粉は、一部の人が期待しているように、一気に普及することはないだろうと個人的に思っている。

多くの人が少しずつ様々な形で消費量を増やしていくことで、日本全体での米粉の消費拡大につながっていくと期待している。

自分も何かできることがあればいいのだが。

少なくともレシピの開発で自分のできることはなさそうだ。

焦らないパニック

3年前の震災が起きたあと、しばらくの間、不思議な行動をとる人達が多いのが気になった。

やたらと買いだめをする人達である。

 

つくばでは震災の当日はライフラインが停止したものの、翌日には電気は復帰していた。

外をぶらぶら歩いていると、近所のスーパーが開店していた。

ちょうどお昼時だったので、何か買おうと思って店に入ったら驚いた。

やたら人が多くいて、そのほとんど全ての人が大量に食べ物とかを買い込んでいたのだ。

買い物かごの限界に挑戦するくらいにものが物を入れまくって、そんなかごを一人で3つ持ってる人もいた。

 

冷凍食品とかはまだ残っていたが、パンやラーメンはさっぱりなくなっていた。

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レジの行列もすごかったので、買い物は諦めて帰った。

後で聞いてみると、このスーパーでは30分待ってようやく買えたそうで、ほかのスーパーでは2時間待ちもあったらしい。

東北の被災地とは違うのだから、食べ物をすぐにそこまで必死に買うことないのに、と思ったものであった。

一部の食品は確かにしばらく品薄ではあったが、食べ物が全くないという状況には全くならなかった。

 

その後で起きたのはガソリン欠乏である。

どこのガソリンスタンドでも車の長い長い行列ができていた。

1キロ以上の長さの行列となっていたところもある。

アイドリングして待ってる車も多い。

寒いから仕方ないのかもしれないが、待つだけでガソリンを消費するだろうし、時間の浪費だろうと思う。

こんな時くらい自転車に乗ればいいのにと思った。

職場のパートさんとかに話を聞いてみると、ガソリンがまだけっこう車に残っているのに給油している人も多かったらしい。

満タンから少し減ったら並んで数リットルずつ入れている人をよく見かけたとのことだった。

 

震災から1ヶ月が過ぎたときに、大きな余震が起きた。

その日の帰り、ふとガソリンスタンドを見ると、長い車の列ができていた。

給油待ちの行列だ。

その時には、つくばは完全にライフラインは回復し、ガソリン不足も解消されていた。

全く問題ないはずなのに、それでも並ぶ人達がいたのは不思議であった。

もうちょっと冷静になろうよ、とその行列を見て思った。

 

こういうのを見たり聞いたりしていて、これも一種のパニック現象だろうと思った。

大量の食べ物を持ってレジに並ぶ人や、ガソリンがまだ車に残っているのに数時間ガソリンスタンドにいる人は、見た目は焦っている様子はないが、それでも冷静に行動できていないと思われた。

その人たちは、「念のため」とか「つい」買っていたのだろうけど、それもやはりパニックを起こしていたのではないかと自分は考えた。

本人は普通に行動しているつもりだけに、もしかすると社会に与える影響はかなり大きなものになるのではないかと思う。

 

 

もうすぐ4月となり消費税が上がる。

そのため、今のうちに買いだめをしておこうとしている人は多いようだ。

テレビとかでそういう様子を見ていると、震災直後の行列を思い出してしまう。

必要のないものを買い込んだり、買いすぎで無駄にしたり、もっと安く買える物を高値で買い込んだりしていないのだろうか。

この駆け込み需要につけこんで大もうけしている人がけっこういるのではないかと思う。