焦らないパニック
3年前の震災が起きたあと、しばらくの間、不思議な行動をとる人達が多いのが気になった。
やたらと買いだめをする人達である。
つくばでは震災の当日はライフラインが停止したものの、翌日には電気は復帰していた。
外をぶらぶら歩いていると、近所のスーパーが開店していた。
ちょうどお昼時だったので、何か買おうと思って店に入ったら驚いた。
やたら人が多くいて、そのほとんど全ての人が大量に食べ物とかを買い込んでいたのだ。
買い物かごの限界に挑戦するくらいにものが物を入れまくって、そんなかごを一人で3つ持ってる人もいた。
冷凍食品とかはまだ残っていたが、パンやラーメンはさっぱりなくなっていた。
レジの行列もすごかったので、買い物は諦めて帰った。
後で聞いてみると、このスーパーでは30分待ってようやく買えたそうで、ほかのスーパーでは2時間待ちもあったらしい。
東北の被災地とは違うのだから、食べ物をすぐにそこまで必死に買うことないのに、と思ったものであった。
一部の食品は確かにしばらく品薄ではあったが、食べ物が全くないという状況には全くならなかった。
その後で起きたのはガソリン欠乏である。
どこのガソリンスタンドでも車の長い長い行列ができていた。
1キロ以上の長さの行列となっていたところもある。
アイドリングして待ってる車も多い。
寒いから仕方ないのかもしれないが、待つだけでガソリンを消費するだろうし、時間の浪費だろうと思う。
こんな時くらい自転車に乗ればいいのにと思った。
職場のパートさんとかに話を聞いてみると、ガソリンがまだけっこう車に残っているのに給油している人も多かったらしい。
満タンから少し減ったら並んで数リットルずつ入れている人をよく見かけたとのことだった。
震災から1ヶ月が過ぎたときに、大きな余震が起きた。
その日の帰り、ふとガソリンスタンドを見ると、長い車の列ができていた。
給油待ちの行列だ。
その時には、つくばは完全にライフラインは回復し、ガソリン不足も解消されていた。
全く問題ないはずなのに、それでも並ぶ人達がいたのは不思議であった。
もうちょっと冷静になろうよ、とその行列を見て思った。
こういうのを見たり聞いたりしていて、これも一種のパニック現象だろうと思った。
大量の食べ物を持ってレジに並ぶ人や、ガソリンがまだ車に残っているのに数時間ガソリンスタンドにいる人は、見た目は焦っている様子はないが、それでも冷静に行動できていないと思われた。
その人たちは、「念のため」とか「つい」買っていたのだろうけど、それもやはりパニックを起こしていたのではないかと自分は考えた。
本人は普通に行動しているつもりだけに、もしかすると社会に与える影響はかなり大きなものになるのではないかと思う。
もうすぐ4月となり消費税が上がる。
そのため、今のうちに買いだめをしておこうとしている人は多いようだ。
テレビとかでそういう様子を見ていると、震災直後の行列を思い出してしまう。
必要のないものを買い込んだり、買いすぎで無駄にしたり、もっと安く買える物を高値で買い込んだりしていないのだろうか。
この駆け込み需要につけこんで大もうけしている人がけっこういるのではないかと思う。