零細米粉研究員の備忘録

米粉に関することなどをたまに書いていきます

米粉の麺の種類

米粉パンや米粉麺に向く品種について文章を書くように依頼が来てしまった。

自分は米粉パンの研究をしてきたので、パンについては多少文章を書くことができる。しかし、米粉の麺はあまり勉強してきてなかった。

今回書いたのは品種についてなので、米粉麺そのものについては詳しく書く必要はなかったのだが、せっかくなので多少調べてみた。

 

海外、特に東南アジアで昔から作っているだけあった種類が多い。ざっと調べたところ、次のようなものがあった。

 

ベトナム:フォー、ブン

カンボジア:ノンバンチョック、クイティウ

タイ: クイティアオ、カノンチーン

ミャンマー:カソエ、モヒンガー

中国(台湾):ビーフン、沙河粉、米線

 

ただ、自分の調べ方が悪いのか、製法について詳しく文献が見つからなかった。IRRI(国際米研究所)とかで「Rice Chemistry and Quality(著者:Bienvenido O. Juliano)」という本があり、その中での米粉麺の製法について記載がある。

しかし、どの米粉麺がどの製法で作られるのかあまりはっきりしない。

他にも本を読んだり論文を読んだりしたので、わかった範囲で書いてみる。

 

米粉の麺といえば、ベトナムのフォーが一番よく知られているかと思う。

「世界の食文化④ベトナム・カンボジア・ラオス・ミャンマー」によると、米を水に浸して石臼でひき、米粉の溶液を作って薄く広げ、加熱後に麺の形に切ったものである(p107-108)。南部では、キャッサバを加えたフーティエウというのあるらしい。

ブンも原料はフォーと同じだが、溶液を小さい穴から熱湯に押し出して茹でて麺にするらしい。

 

カンボジアのノンバンチョックは、NHKの「人間は何を食べてきたか 第3巻」で見たが、これはブンと同様に押し出し式の麺であった。文献で製法について見つけることができなかった。上記の本のカンボジアの項目にはノンバンチョックについての説明がなく、クイティウについては書かれていたが、麺の作り方については記載がなかった。多分フォーと同様の製法だろう。

 

タイの クイティアオ(クイティオ)は現物を見たことがあるが、フォーと同様の製法と思われる。カノンチーンは、内村らの報告によると、乳酸発酵で作られた麺であるらしい。米を水に数日つけておいて発酵させ、つぶしてペースト状にして作る押し出し式の麺らしい。「Rice Chemistry and Quality」によると、タイ人は発酵麺の方を好むということだ。

 

池田らの報告によると、ミャンマーのモヒンガーは発酵麺であり、カソエは非発酵麺であるらしい。ミャンマー人が以前に研究室に来ていたから、詳しく聞いておけばよかった。

 

「世界の食文化②中国」によると、ビーフンは押し出し式の麺である(p220)。漢字だと「米粉」らしい。中国標準語での読み方「ミィフェン」ではなく、福建省の方言(閩南語)の読み方「ビーフン」であるということだ。

沙河粉は、米粉をどろどろにしたものを布を敷いた蒸籠に流し込み、蒸したものを切って作る(p221)。米線は、雲南省では布の上で加熱して切って作る。

この本によると、中国の米粉麺が、フォーやクイティアオの原型であるらしい。今まで、米粉麺は東南アジアが発祥と思っていた。

 

 

調べていて思ったが、米粉麺はあちこちで食べられている割には、文献が非常に少ないように思う。

誰か米粉麺について詳細に書かれた本でも書いてくれないものだろうか?