零細米粉研究員の備忘録

米粉に関することなどをたまに書いていきます

米粉の製粉について

小麦粉には、強力粉、中力粉、薄力粉などがある。これらは成分の違い(タンパク質)によるもので、製粉方法は基本的に同じである。ロール粉砕といい、2本のローラーの間でつぶして粉にする。なお、このタンパク質含量の違いは、品種の違いと栽培条件の違いが原因である。
それに対し、米粉の製粉方法はかなり多種多様である。これは、米が小麦より硬いことが一つの要因である。小麦は粒が柔らかく比較的つぶれやすいので、粉にすることはそれほど困難ではない。しかし、米粒は硬いので粉にしにくいため(比較可能な硬さデータが見つからなかった。見つかったら書き加える)、用途に応じて様々な製粉方法がとられてきた。

主な米粉の粉砕に使われる粉砕機は以下のようになる。
 上新粉:ロール粉砕
 上用粉:胴搗き粉砕
 白玉粉:水挽き粉砕
 米粉パン用米粉:気流粉砕

他の米粉については恥ずかしながら、よく知らない。

 

上新粉は小麦と同様にロール粉砕で行われているが、やや粗めの粉となる。団子などにはちょうどいいらしい。細かすぎると硬くなると聞いたことがあるが、実際のところよく分からない(どこかに文献があるとは思うのだけど)。他の製粉法よりもコストも安いらしい。

 

上用粉は胴搗き粉砕という方法で行われる。より細かい米粉を作るために、製粉前に米を水に浸して中まで吸水させ(だいたい水分30%位になる。普通の米は15%くらい)、石臼と杵で搗いて製粉する。上新粉よりも一般的に細かいのが特徴である。上用粉は上新粉として売られていることもある。

 

白玉粉は、水挽き粉砕という方法を用いる。水と一緒に石臼で米粒をつぶし、乾燥させて粉にする方法である。マイルドな製粉であり、ぬかやタンパク質の一部が水と一緒に流れるので、より精製度が高い粉となる。餅粉は上新粉と同様にロール粉砕されるらしい。

 

米粉パン用の米粉は、主に気流粉砕機という機械で製粉される。下の写真は以前に使っていた気流粉砕機。

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気流粉砕機は、空気の渦の中に米を入れ、米同士がぶつかったり、米が壁面みぶつかったりする事で粉にする機械であり、他の製粉方法よりもマイルドな製粉ができる。価格はかなり高いが、できる粉の性質は確かによい。

 

 

米粉の研究を始めた頃は、製粉方法についてはかなり無知であった。品種間の比較をするのだから、同じ製粉方法ならなんでもいいだろうと思っていたところがあった。

それで、近くの研究所の粉砕機を使って製粉させてもらった米粉を使ったら、以前に書いたような変なパンになってしまった。

文献をちゃんと読んでおけばこの程度のことは分かったはずであった。勉強不足であったことを反省している。