牛肉1キロ作るのに穀物11キロ必要な根拠が分からない
食料関係の文章を読んでいてたまに見かけるのが、食生活の変化によって穀物需要が変化するというものである。
発展途上国の人が豊かになることで食肉の量が増えるが、肉を生産するためには多くの穀物が必要であるために、穀物の消費量が大幅に増加するというものである。
Wikipediaの「飢餓」の項目によると、牛肉1キロの生産には穀物が11キロ必要で、豚肉1キロの生産には穀物7キロ、鶏肉1キロには穀物が4キロと書かれていた。
この数値は他の本とかブログとかでもよく見かける数字である。
学生の頃にも同じような話は聞いていたが、この数値よりも低かったように記憶していた(数字は忘れている)。
そこで、参考文献としてかかれていた「我が国の食料自給率ー平成15年度食料自給率レポート」を図書館で調べてみた。
すると、10ページに試算の表があった。
(注)として、必要な飼料の量をトウモロコシで換算したとあるが、どのような計算かが詳細には書かれていなかった。
この計算に用いた 飼育方法はどのようなものなのか、「とうもろこし換算」とはどのような換算なのかを詳しく知りたいところである。
外国の文献についても少し調べてみた。
そうすると、Utsa Patnaik氏の書かれた、「Origins of the Food Crisis in India and Developing Countries」という記事には、鶏肉1kg、豚肉1kg、牛肉1kgの生産に必要な穀物の量はそれぞれ2kg、3kg、7kgと書かれていた(Table1参照)。
上記の値とけっこう違っている。
自分が学生の時に見た数値はこれくらいだったように思っている。
この違いは、飼育方法が日本と海外で違うだけかもしれない。
ただ、畜産物の生産情報についてのWebサイトである「りんたらくと」のQ&Aの一つで、「肥育される豚は、約6ヶ月飼育されて約110kgの体重で出荷されますが、その間に食べる飼料は約300kgです。」と書かれていた。
この結果は、Utsa Patnaik氏の結果と同様と言える。
食肉生産にはどれくらいの穀物が必要なのか、正確にわかりやすく示してくれる人はどこかにいないものだろうか?